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これだけは知っておいて!!
第87回 【世界の保険医療制度】
明治国際医療大学 教授 長尾 淳彦
「いつでも」「どこでも」「だれでも」が標準の医療を受けることが出来る日本の医療。このような健康保険制度は大正11(1922)年に初めて制定され、制度の整備・充実がすすみ、昭和36(1961)年、国民皆保険制度が出来上がりました。
日本では、国民健康保険、協会けんぽ(全国健康保険協会)、各種共済組合、組合健康保険への加入が義務付けられています。
日本の素晴らしい健康保険制度を失くさないためにも世界各国の健康保険制度というものがどうなっているのかを見てみましょう。
中東
イスラエル:
世界有数の高度な医療が受けられる国です。健康保険制度が充実しており国民皆保険も達成されています。国民は4つある健康保険組合のいずれかに加入し、保険料は給与から天引きされます。この保険に加入していれば、一部負担金は無料で診察・治療が受けれます。出産も保険がききます。
イラン:
労働者が収入の12%から18%までの金額を自発的に支払その基金によって支えています。一部負担金は診療費の25%で歯科と整形外科を除くほとんどの医療が対象です。民間保険会社の保険制度もあります。
オセアニア
オーストラリア:
健康保険は「メディケア」といい、永住権もしくは市民権を持っている人は全員が加入します。「メディケア」に加入している人の一部負担金は無料です。失業者であっても「ヘルスケアカード」という証明書を持ち、無料で診察・治療が受けられます。
アフリカ
エチオピア:
都市部には健康保険制度があります。企業に勤めている人や公務員がこの制度に加入しています。農村部や遊牧民は加入しておらず私費での治療となります。
南アフリカ:
「メディカルケア」という健康保険制度がありますが、貧困層の人は保険料が払えず、公立の病院で診療しますが質が低く満足な治療を受けれない。
北アメリカ
アメリカ:
公的な医療保障制度は65歳以上の高齢者及び障害者を対象とした「メディケア」と一定の条件を満たす低所得者を対象とした「メディケイド」があります。ただしこれを社会保険とは言い難い。実際のアメリカの健康保険とは、民会の保険会社が提供している医療保険を意味します。医療保険は商品であることから、補償の内容や保険料は医療保険によって様々です。
南アメリカ
ブラジル:
SUSという公的な健康保険制度があり国民皆保険の体制は整いつつありますが、給付額が低く、標準的な医療が提供できない。実質的には民間保険と併用している。
アジア
インド:
憲法によって公立病院では事務手数料という僅かな金額で医療が提供される。人口過多で多くの人が公共な病院に殺到し何日も待たないと診てもらえないということが起こっています。
中国:
都市戸籍を持つものと農村戸籍を持つものの格差は大きい。都市戸籍のものは事業主から賃金の6%、個人から2%を徴収し基金を設立して健康保険制度を構築しています。農村戸籍は制度の整備は進んでいない。
ヨーロッパ
スペイン:
スペインの医療機関の8割が公立で2割が私立です。社会保障保険という制度があり、これに加入している人は公立病院の診察料は無料です。薬については有料ですが大幅に値引きされた価格です。スペインは国が国民の健康を無償で補償するという考えなので「健康保険制度」の必要性はさほどありません。
ドイツ:
医療保険制度が充実しており資金は加入者から支払われた保険料によって賄われます。医療保険料は総所得の13-14%程度が基準となります。一部負担金の制度も総所得の2%までと定められておりそれを超えて支払った分は申請すれば戻ってきます。
イギリス:
保険としての制度はない。国が国民の健康を無償で補償するので問題ない。ホームドクター制度が確立しています。自分のホームドクター以外にかかるとその費用は全額負担となります。