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第86回
【柔道整復師の施術の療養費の適正化への取組について】のお願い2

2013/12/16

明治国際医療大学   教授   長尾 淳彦

平成25年11月22日厚生労働省保険局保険課から【柔道整復師の施術の療養費の適正化への取組について】のお願いという事務連絡が出された。

平成24年3月12日にいわゆる4課長通知が発出され、それに沿い、保険者が作成したパンフレットやリーフレットの一部に事実と異なる記載や行き過ぎた表現があったので保険者に対して「適正化の取組について」列記の点を注意してください.ということである。その内容に関して解説する。


 

(例2)
施術が長期間(3か月)にわたる場合は、一度、医師の診察も受けるよう厚生労働省からの通達もされています。」「長期間(3か月以上)の柔道整復師の施術には、整形外科などの医師の同意が必要です。」との記載。

 

(例示に対する考え)
厚生労働省では、施術が長期間(3か月)にわたる場合において、患者に対して一律に医師の診察を受けることを求める旨の通達は発出しておりません。

柔整療養費で医師の同意を必要とするのは、骨折及び脱臼に対する施術の場合であり、「長期間(3か月以上)の柔道整復師の施術には、整形外科などの医師の同意が必要です。」との表現は、3か月を経過すれば一律に医師の同意が必要となるとの誤解を与えかねず、適当ではないと考えられます。

なお、内科的な要因が疑われるようなケースについては、医師による診断を促こすことは、適切な対応と考えられます。

 

【著者解説】
骨折や脱臼の応急手当後の施術には「医師の同意」が必要ですが、骨折や脱臼以外の打撲、捻挫、挫傷に関しては「医師の同意」は必要ありません。このケースのように3か月を経過すれば一律に医師の同意が必要となるとの患者に誤解を与える文章には断固、抗議して是正していかなければならないと考えます。


 

(例3)
原則として健康保険は使えません」、「原則全額自己負担」との記載。

 

(例示に対する考え)
柔道整復師による骨折・脱臼※1・打撲・捻挫等に対する施術は療養費の支給対象としてきており、このような表現は療養費の支給対象とはならないとの誤解を与えかねず、適当ではないと考えられます。

※1
骨折又は脱臼は、医師の同意が必要です
(ただし、応急手当を除く。)。

 

【著者解説】
柔道整復師の施術は、療養費の支給対象です。冒頭から「原則として健康保険は使えません」や「原則全額自己負担」という文言は、被保険者の受診する権利を奪うに等しい行為です。

施術をする「柔道整復師」、給付分を負担する「保険者」は、患者さんである「被保険者」のために協調してよき制度として活用していくことが大切であると考えます。


 

パンフレットやリーフレットの作成に当たっては、特に「柔道整復師の施術の療養費の適正化への取組について」(平成24年3月12日付保医発0312第1号・保保発0312第1号・保国発0312第1号・保高発0312第1号厚生労働省保険局医療課長、保険課長、国民健康保険課長及び高齢者医療課長連名通知)の別添3-1及び3-2を今一度ご確認いただき、加入者に誤解が生じないよう確認をお願いいたします。