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第71回 【今回の柔道整復療養費改定について考える】
今回の柔道整復療養費改定について考える
明治国際医療大学 長尾淳彦
療養費改定などに係る社会保障審議会医療保険部会柔道整復療養費検討専門委員会(以下、専門委員会という)は第1回が平成24年10月19日、5か月後の平成25年3月26日に第2回が開催された。
第2回目開催の2日後に厚生労働省保険局医療課より事務局案として出されたのが今回の改定骨子である。 第1回から第2回目の間に衆議院選挙があり民主党から自民党への政権交代があったとはいえ専門委員会で十分な議論が交わされたとは言い難い。検討専門委員会という名の通り5、6回の委員会が開催され、十分な検討がなされ、それでもかつ、調整がつかない時に「事務局案」を提示し調整するのが本来の委員会の姿であろう。自己紹介程度の1回目を除くと1回しか議論が交わされていない。
また、この専門委員会は「料金改定」を主に検討し、「制度」や「運用」については中長期的に有識者の意見を参考に検討していくこととなっていたはずである。
今後、有識者による「制度」や「運用」の議論が行われるか注視しておく必要がある。
以下、今回の改定について考えてみよう。
適正化すべき項目―多部位施術の逓減強化
3部位以上請求の割合の全国平均は低下しているものの、なお、大きな地域格差があるため、さらなる見直しを行う。
【現行】 3部位目の施術について、70/100に減額して支給
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【改定案】3部位目の施術について、60/100に減額して支給
著者:
「3部位以上請求の割合の全国平均は低下しているものの、なお、大きな地域格差があるため、さらなる見直しを行う」として3部位目の逓減が地域格差を解消する対策とされているが本当に3部位目の逓減をすれば地域格差は解消するのであろうか?答えはノーである。相対的に下がるだけで地域格差の解消にはならないと考える。
次回の料金改定時に地域格差が解消されていなければ、逓減率が60%であったからで33%であれば解消されたとうそぶくのであろうか?誰がどう考えても3部位目の逓減をしたからといって地域格差は解消することはない。
また、「医科」に地域格差はないのであろうか?あるとしても診療報酬を逓減して全体を均(なら)すような作業は行わないであろう。なぜ「柔道整復」だけこのような乱暴な逓減強化が行われるのだろうか?
<次回へ続く>