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これだけは知っておいて!!

第67回   【「急性」「亜急性」について】

2013/03/01

全国の柔道整復師養成施設で使われている教科書に記載の「急性」「亜急性」についてもう一度考える必要がある。

社団法人全国柔道整復学校協会・教科書委員会編で社団法人全国柔道整復学校協会監修の「柔道整復学・理論編」は全国の養成施設で教科書として使われている。

この第Ⅱ章 総論   「4  損傷時に加わる力」 18-19ページ には

 


身体の基礎的状態」に、なんらかの「力」が加わり損傷が発生する。

この損傷時に加わる「力」には、急性または亜急性に作用する種々の要素があり、加えて、組織に対する力の質や量によって、損傷・障害の発生、程度、部位が変わってくる。

解剖学、生理学、組織学、運動学などの基礎的知識は、これらを分析し、考察していくための基礎になる。それらの力の質や量について示す。

 

 a. 損傷時の力

「急性」と「亜急性」に分類できる。

 

 1.
急性
原因と結果の間にはっきりとした直接的関係が存在するもので、落下、直接の打撃、骨・関節・軟部組織に加えられた瞬発的な力によって発生する。

 

 2.
亜急性(蓄積性あるいは反復性)
反復あるいは持続される力によって、はっきりとした原因が自覚できないにも関わらず損傷が発生する。このなかには、臨床症状が突然発生するものと、徐々に出現してくるものがある。
前者は先に述べた荷重不均衡状態、あるいは静力学的機能不全の状態下で損傷される場合が多く、組織損傷が拡大していくなかで、外力として認知できない場合あるいは軽微な外力で突然発生したかのように機能不全に陥る。後者は静力学的機能不全の状態であることが多く、症状は次のような経過をたどることがある。
まず疲労感を覚えやすくなることで、身体に何か異常があることに気づくが当初はそれを強く感じない。経過とともに疲労するのが早くなり、また安静によっても安易に回復しなくなることで、それを損傷と認識するようになる。
次いで、この疲労状態は疼痛となって現れ、さらに症状が強くなると局所の腫脹、発赤などが現れたりする。

 ● 亜急性損傷は以下に示すような分類がなされる。

(1)
使いすぎ    Overuse
(2)
使い方の間違い    Misuse
(3)
不使用後の急な負荷    Disuse

 

初版の序文において1988年当時の全国柔整学校協会の米田一平会長は「現行の厚生省の柔道整復師養成施設指導要領を骨子にして、各学校から選出した委員が分担執筆をした結果、ここに新しい柔道整復理論の教本を完成した。また、この内容について、厚生省健康政策局医事課の監修を頂き、公的にも柔道整復師の業務範囲を明らかにすることができた。」と言われている。この教科書の内容は当時の厚生省も監修しており現在も変更がないとするとこの教科書に記載されている「急性」「亜急性」理論は療養費支給申請における「負傷の原因」にも有効となる。このことを全柔道整復師と関連学会、関連団体は声を大にしてアピールすべきである。

この内容を厚生労働省、行政機関、保険者、外部委託調査会社に知らしめる必要がある。一番大切なのは「患者さん」である「国民」に知らしめる努力をしなければならない。

そして、「急性期」と「亜急性期」「慢性期」とどう異なるのかを明確にしなければならない。