柔整ホットニュース

これだけは知っておいて!!

第64回   【柔整問題への私見  そのⅣ】

2013/01/16

日本臨床整形外科学会(JCOA)元理事長であったO県のR整形外科病院の院長T氏が平成18年、JCOAの一会員として「柔整問題への私見」を機関誌に投稿されている。

数回に分けて転写したが今回が最終編である。

 

「柔整問題への私見」  そのⅣ

( T ・ Y )

(続き)

6-10)我々がまずやるべきこと、やれそうなこと

いろいろと、やれないこと、圧力などもありますが以下のことを提案します。

「柔道整復施術療養費支給申請書」(いわゆる医科のレセプトに相当)に必ず負傷の原因の記入をさせる運動を起す。(先ずは保険者機能を推進する会、各県医師国保に働きかける)
4部位以上の外傷の原因は記入を義務づけられているが、コンピューターで機械的に受傷原因が出るという。(犬の散歩中転倒とか、寝起きに首をひねった、とかが多いという。)
施術録には、「負傷年月日」「時間」「原因」等、よく聴取して必ず記載すること。➊いつ➋どこで➌どうして、と決められている。
受傷原因の記入と呼応して、保険者は施術通知を患者宛に送り回収する。
高知県医師国保は既に実施している。
受同意書の問題
同意書を要する医師は必ずしも整形外科・外科を要しないとなっているが、必ず整形外科・外科医であり、必ず医師が診察後に同意ということを各地区の医師会に申し入れる。全国津々浦々どこでも可能か、という問題が出てくるであろうが、モータリゼーションの発達した現代、例えば1週間以内には必ずとしてはどうだろうか。
また柔整師側の施術に問題が生じた場合、同意した医師にまで責任が及ぶとの判例もあることを忘れてはならない。
療担第17条との関係
「(施術の同意)第17条  保険医は、患者の疾病又は負傷が自己の専門外にわたるものであるという理由によって、みだりに、施術業者の施術を受けさせることに同意を与えてはならない。」
これを医師会に提示してはどうだろうか。
包括化の推進
医療では包括化、逓減制の導入が図られている。柔整側も包括化をすすめてもらうようにする。
柔整の悪の根源は受領委任払いと、この非包括化という人もいる。
レントゲンフィルム、MRIフィルムなど
柔整側からレントゲン、MRI撮影の依頼があった場合、診断結果を患者に話すのはよいが、フィルムは柔整師側に決して渡さぬこと。診断権のない柔整がそれで診断することは医師法違反であり、その違反を手助けすることになる。
施術料の請求、受領の代理業者の排除
「柔整施術療養費支給申請書」を現金で買い取って代理請求する業者のことがインターネットに出ているが、この申請書のその後の運命はいかばかりであろうか。国民の貴重な財産が浪費されていないだろうか。

7.  柔整の開業一代限り

韓国では柔整は現在免許を持っている者限りで、次世代の柔整は認めない由です。考えようによっては、日本より韓国の文明、医療文化は、一段と上位にあるともいえましょう。日本でもそうやってほしいと思いますし、さらに診断権ももたない医業類似行為が医療界の中で堂々とわたり合っているのは、異常な世界だと思います。私は少なくとも柔整師の開業権は現在開業している世代だけにして、次世代には開業権を与えるべきではないと信じています。既得権を云々する話もありますが、明治維新でも昭和20年でも小泉改革でも、既得権を失ったものは数限りなくあります。今の養成学校に在学中の者は卒業すれば医療界で医療補助者として救済してあげたらよいと思います。開業権は一代限りとなると、養成校もなくなってしまいます。

8.  まとめ

山内裕雄順天堂大学名誉教授のご先祖は、浜松市近郊で代々百数年整骨を専門とする医師の家系であった由。ご父君は医師免許をとり、外科医と看板を掲げただけで先祖代々あれほど隆盛であった骨折の患者は骨つぎに流れてしまい、内務大臣宛に「外科とともに骨接ぎ」の標榜許可の要望書を提出されています。(昭和9年)。

時代は変遷します。昭和の初めとは時代が変わってきています。国民は現代では明らかに「骨折」と思われるものは医師にかかるでしょう。しかしいつの時代になっても柔整師の施術範囲については明確な線引きが必要です。

時代の流れがあります。それでも国民の健康を守り、貴重な社会資源を有効に使う義務が誰にでもあります。エビデンスが定かでない医業類似行為について、とくに柔整に関しては整形外科医がなんらかの行動を起こさねばならないでしょう。

(平成18年10月1日)