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これだけは知っておいて!!

第62回   【柔整問題への私見  そのⅡ】

2012/12/16

日本臨床整形外科学会(JCOA)元理事長であったO県のR整形外科病院の院長T氏が平成18年、JCOAの一会員として「柔整問題への私見」を機関誌に投稿されている。

興味深い内容であり、この私見を柔道整復師界は真摯にとらえて分析し良き方向に是正していくことが国民に信頼される「柔道整復」を提供できるヒントとなる。

 

「柔整問題への私見」  そのⅡ

( T ・ Y )

(続き)

3.  「柔道整復師法」の変更

これは行政府が制定したものであって、これを覆すには立法府で審議してもらわねばならない。立法府で審議していただくにはどうすればよいのか。政府提案か議員立法しかないはずである。このためにはどのようにすればよいかを考えねばならない。

立法府に上げるためには、少数の整形外科医の請願だけでは行政府(内閣、厚労省)、立法府(議会)は動かない。柔整師法の改定を求める国民大運動が起ることが第一の要件である。この運動を起すには日整(日本整形外科学会)会員約2万名の同一目的の行動が必要であり、さらには日本医師会の同一の行動が必要である。現時点ではJCOA会員でさえ意見の一致をみないし、日整会の中の医療システム検討委員会、日整会理事会でさえ柔整師擁護論がまかり通っている中で、同一歩調がとれるのだろうか。ましてや医師会の6割は内科医であり、医師会の中で同意をえることは不可能と思われる。

さらに、平成10年の柔道整復師養成施設不指定処分取消請求事件(福岡地裁)判決後の柔道整復師養成施設の急増による柔整師の増加は明らかに厚生労働省の不作為であるが、柔道整復師にとっては数の力となっている。

4.  国会議員、厚労省への要望だけでは効果少なし

国会議員は選挙の応援での貸し借りがあり、柔整側に不利な働きは決してしない。平成14年4月の診療報酬改定で整形外科医療が壊滅的打撃をうけたが(柔整の施術料の改定は医科の年度の6月)、5月の柔整会のある会合で、医系議員が「医科もこのようにやられたのだから諸君も安心してもらっては困る」と発言したところ、総理も経験された方が直ちに「そんなことはしない、安心するように」と援護演説をされたという。

このように立法府は必ずしも国民の味方ばかりはしない。「政治は弱者のためにある」とおっしゃる方もいるが、医師会よりも柔整会が弱者なのであろうか?弱者は一般国民と思われるが、いかがなものであろうか。

厚労省は保険局医療課に療養指導専門官がいるが、課長、室長、担当官ともに政治家に弱い。「これは柔整にちょっときびしいんじゃない!!」と囁きがあることもあるとのことである。

日整会から坂口大臣(平成14年6月17日)尾辻大臣(平成17年5月26日)に柔整問題に関する要望書を直接手渡して、国民のためにご努力をお願いした(この原稿は私が書いたが、日整会でズタズタに訂正をうけた)。しかし、ある関係者におたずねすると、厚労省の担当部局には廻ってきておらず、恐らく1週間前後で大臣の机の上からゴミ箱に直通だったろうということである。

5.  マスコミ報道(勇気ある人達)

東京新聞(中日新聞系)が平成11年6月29日から一連のキャンペーンをはった。

非常に正しい記事であり、平成14年5月18日・第75回日整会学術集会のパネルディスカッション「整形外科医として代替療法を考えるー国民の立場で」で、担当記者に「柔道整復師による療養費不正請求問題を取材して」を講演していただいたが、その後の追跡調査はなされていない。

また毎日新聞(東京版)が平成14年5月18日以来、約6か月間同じようなキャンペーンを行っていたが、これも尻切れとんぼに終わっているように思う。

担当の記者は駅のホームの最前列には立たないと言い、東京湾に浮ぶ心構えでやってみると言っていると風の噂で聞いたように思う。まだ、東京湾で発見されたという報道はないが、柔整の反社会的行為の続報がない。

マスコミも、ごくごく少人数の正義感のある記者が真剣に取り組んでいるが、いつの間にか立ち消えになる。どのような闇の力が働くのであろうか。マスコミが国民の側に立ってもらいたいと常々思っているが、私どもの時代には成就できないように思う。実に情けないと思っている。

 

つづく