柔整ホットニュース
これだけは知っておいて!!
第61回 【柔整問題への私見】
日本臨床整形外科学会(JCOA)元理事長であった O 県の R 整形外科病院の院長 T 氏が平成18年、JCOAの一会員として「柔整問題への私見」を機関誌に投稿されている。
柔整バッシング急先鋒の T 氏である。興味深い内容である。この私見を柔道整復師界は真摯にとらえて是正していくことが国民に信頼される「柔道整復」を提供できるヒントとなる。
連載1
「柔整問題への私見」
( T ・ Y )
柔整問題に対する皆様のお怒りは当然で、正義のある医師ならばその考えは共有できます。私は理事長を退任しましたので、JCOAの一会員として自由に私の考えをのべさせていただきます。(順不同で書きなぐります。)
- 1.
- 私は平成8年から2期4年間JCOA理事として、平成12年から1期2年間副理事長として、平成14年から2期4年間理事長として、計10年間JCOA医療システム委員会に係ってきました。先輩同輩にご教示いただいたり、自分なりに研究してきました。皆様方の悲憤、慷慨はよく理解できます。しかし、現時点での私の結論は皆様方の要望はあまりにも高い、硬い壁につきあたっていることを知るべきと考えています。これを打ち破ることはまず不可能に近いように思います。といって、このままでは国民に傷害を残し、貴重な日本国民の社会保障費を無駄遣いすることになります。
これからが私なりの提案です。
- 2.
- 「柔道整復師法」の成立による「法律の壁」
昭和21年12月29日、単独法として柔道整復術営業取締規則が発令されたが、翌22年12月20日にはこれを失効し、「あん摩・はり・きゅう、柔道整復等営業法」が制定された。
昭和22年(1947年)4月 接骨師法案英訳をG・H・Qに廻付し、会談を重ねたが、諒解を得ることが出来なかった。
G・H・Qの見解、意向について
1. 公衆衛生局長 サムス准将
アメリカでは骨折や脱臼は医者が扱っているのに、日本では医者もさることながら、非医者である接骨師が取り扱っている事実は諒解(?)に苦しむ。然も非医者の彼らは徒弟制度によって許される極めて非科学的なもので、到底それを法律化し、合法視することには同意しかねるが、僅かに世界文化国家の医療に対する常識からは、日本国民は50年も遅れているという前提によってのみ、当分の間認めてやってもよいが、他日国際場裡(?)に出られるようになった時には、寧ろない方が良い!と。
2. ドクター ジョンソン大佐
アメリカにも50年前にはボーンセッターがあったけれども、医学的基礎に欠けて単なる療術だけであったので、年々歳々淘汰の運命を辿り、遂に今日のように医学の進歩とその常識の発展に反比例してその姿は見られないように、又社会人民からは打ち忘れられるという状態にまで衰滅したのである。
要するに、柔道整復術および鍼灸術は、医業類似行為で非科学的であるから、既得権者を除き全面禁止令を出そうとしていたのである。
昭和22年の時点でGHQは日本の医業類似行為を止めさせようとしたのである。サムス准佐、ジョンソン大佐の意見は現在の我々が主張しているところとまったく同じである。
再度、柔道整復は「あん摩・はり・きゅう、柔道整復等営業法」に纏められた為に、柔道整復師は単行法としての成立を希求し、その後も執拗に政治運動を展開し、遂に昭和45年に念願の単独法である「柔道整復師法」を成立させた。
しかしその際には、業務内容には新たな規制変更は加わらなかった。その後、昭和63年には、都道府県知事免許から厚生大臣免許への格上げを図るために受験資格の変更(修学3年制)、試験の実施権者及び免許権者を厚生大臣とすること(国家試験と大臣免許)、指定登録機関、指定試験期間制度の導入等を内容とする法改正が行われた。これほどの積み上げをしてきた法の壁は高い。
会員の方々の要望はこれ(法律)を変更させない限り不可能である。
つづく