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これだけは知っておいて!!

第46回   【柔整八策 ― そのⅢ】

2012/04/16
「急性」「亜急性」を考える

保険者による「患者照会」「接骨院の正しいかかり方」には必ず、「急性」「亜急性」の骨折、脱臼、捻挫、打撲、挫傷には健康保険が適用されるという表現があります。
「急性」「亜急性」とはどのような意味であるかは記されていない。
柔道整復師の養成施設での教科書である「柔道整復学・理論編」:全国柔道整復学校協会・教科書委員会編によると

 

損傷時に加わる力

Ⅰ.損傷時の力

急性と亜急性に分類できる。

1.
急性
原因と結果の間にはっきりとした直接的関係が存在するもので、落下、直接の打撲、骨・関節・軟部組織に加えられた瞬発的な力によって発生する。
2.
亜急性(蓄積性あるいは反復性)
反復あるいは持続される力によって、はっきりとした原因が自覚できないにも関わらず損傷が発生する。このなかには、臨床症状が突然発生するものと、徐々に出現してくるものがある。

前者は、先に述べた荷重不均衡状態、あるいは静力学的機能不全の状態下で損傷される場合が多く、組織損傷が拡大していくなかで、外力として認知できない場合あるいは軽微な外力で突然発生したかのように機能不全に陥る。後者は静力学的機能不全の状態であることが多く、症状は次のような経過をたどることがある。

まず疲労感を覚えやすくなることで、身体に何か異常があることに気づくが、当初はそれを強く感じない。経過とともに疲労するのが早くなり、また安静によっても安易に回復しなくなることで、それを損傷と認識するようになる。
次いで、この疲労状態は疼痛となって現れ、さらに症状が強くなると、局所の腫脹、発赤などが現れたりする。

● 亜急性損傷は、以下に示すような分類がなされる。

(1) 使いすぎ overuse
(2) 使い方の間違い misuse
(3) 不使用後の急な負荷 disuse

 

Ⅱ.損傷時の力の種類

損傷される組織に直接的に力が加わる場合と、間接的に力が加わる場合に大別する ことができる。

1.
直接力
直接的に作用する直達性の力は、大きく鋭性と鈍性に分類でき、さらに両者は急性と亜急性に分類される。
鋭性では外皮の損傷を伴うことが多く、一般には機械的開放性損傷、いわゆる創傷と呼ばれる場合で、力の大きさによって深部の骨・関節・腱・神経・血管などの組織に損傷が波及する。
鈍性は、一般に閉鎖性であることが多く、深部の損傷を見落とすこともありうる。そのような場合、重篤な経過をたどることもあり、注意が必要である。受傷機序の詳細な問診、患者の自覚症状に対する配慮を怠ってはならない。
2.
介達力
間接的に作用する介達性の力も急性と亜急性に分類できる。

この「急性」「亜急性」を行政、保険者そして患者さんに理解してもらわなければならない。