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何故、柔道整復は国民に支持されてきたのか?
【第6回:昭和時代の骨継ぎ・接骨術】

2017/11/01

大正9年、明治時代の接骨術禁止から約40年もの期間を経て、按摩術営業取締規則の“準用”という形式であるものの、柔道整復術を行う者として身分が確立しました。

第1回の柔道整復術試験の合格者を中心として組織された大日本柔道整復術同志会は、大正11年4月に大日本柔道整復師会として正式に設立されました。(大日本柔道整復術同志会の発足が、現在の公益社団法人日本柔道整復師会の前身であると言えます。)
この新たに設立された「大日本柔道整復師会」は、全国の柔道整復師によって組織され、柔道整復術の発展を図り、会員相互の団結及び親交を深めることを目的としています。

大日本柔道整復師会の第二回定時総会(大正12年4月21日)での来賓、前代議士 斎藤珪次郎氏の演説には、

「~期成会の人々は最初の御精神を忘れないように願います。
~整復師会が成立された最初の目的をお忘れになってしまいかと思うのであります。
根本の目的は柔道普及にあるのであったのであります。
~日本根本の国技である柔道を保存し、一般に普及したいという考えで代議士等があったのであります。柔道家が立ち行かれるようにしたい、現在の有様では柔道としての収入が薄給で、柔道家としては立ち行かれないから、それには副業として日本従来の整復術こそ、実に西洋の整形外科の学術以上に超越している接骨術である。
危険なる器械薬物を利用しての外科手術よりも立派に安全に整復し得ることが出来る。この技術こそ柔道家達が副業として公認し発揮せしめ得ることが出来ると考えて、これを採用することにしたのであるが、当時大反対であったのは内務省衛生局長杉山氏であった。
~体を痛めた氏は、柔道整復術で立派に治って、この術が西洋医術以上に優れた効果を認め感嘆し、果たして前と反対に大なる味方となって斯道公認に尽力してくれた結果、公認を得たのである。この最初の意味は、柔道を発揮させることであるので許可したのである。
しかし、医師会側からの大反対があった。その理由は、単に整復のみでなく、自己のできる範囲外にまで手を出し、国民の保健上危険が伴わないとも限らないからという主たる理由であった。
故にこのことを熟く考えて、整復師になった方はいやが上にも研究して、自己の範囲を充分考えて、医師共々に病院に立ち入って患者を立派に取り扱うようになって欲しい。
~益々発展して医師と同一の必要を認められて、病院等に招聘せらるるようになることを望む。故に今日の如く大日本柔道整復師会が益々発展し、お互いに医師と気脈を通じて一致してこの会を立派に向上せられたいと思うのである。」とあります。
(日整六十年史より一部抜粋)

さて、柔道整復術を行うものとしての身分は認められ団体が組織化されましたが、法的な位置付けは按摩術に関する規則の準用です。各地において様々なトラブルも絶えなかったようです。
柔道整復術は按摩術と同視されることから、地方での柔道整復師会設立を認めない事例、柔道修養の無きものが柔道経験者として資格証明を得て試験合格した按摩業者の例、また、整骨散やホウサン水などの薬剤使用についても、按摩術との混同から誤解を招き検挙される事件となった例などもあったようです。

柔道整復術を行う柔道整復師としての身分が認められたとはいえ、実情は非常に厳しい有様で、団体組織として新たな悲願は、按摩術営業取締規則の準用から完全に分離独立した単独の法整備であることは言うまでもありません。

柔道整復術取締規則として、単行法に向けた請願運動が大正時代末期から昭和時代初期にかけて続けられることになります。しかしながら前途は多難で厳しく国会は勿論、内務省の反対、中央衛生会の不理解、医師会による柔道整復術への監視強化などに抗して、悲願達成の運動展開は非常に困難を極めたことでしょう。

これら柔道整復に係る法整備とは別に、昭和7年頃から関東の一部の地区において健康保険の取り扱い獲得運動が行われ始めます。
工場地帯に住まいする多くの工場労働者が健康保険による柔道整復の受診を切望され、工場協会を通じて内務省への嘆願書が提出されます。
その結果、健康保険の特例として柔道整復に療養費の委任払いが認可されました。
内務省社会保険部の川西実三保険部長(後の日本赤十字社長)・清水玄保険課長(後の保険局長)両氏による英断によって、昭和11年1月22日に取り扱い発令、同年4月1日より保険取り扱いが開始されました。
法的な身分の復活を得たとはいえ非常に不安定でありながら、健康保険の取り扱いが認められた事実は非常に大きな成果です。あくまでも特例的措置とは言え健康保険の取り扱いは既に、80年が経過しています。

現在、柔道整復師の先生方に協定や取扱規程として認められている「柔道整復療養費特例受領委任」の方式は、通知による特例です。これまでの経時的事実から“制度”だと呼べなくもありませんが、法的な根拠を有しているとは言えません。

いずれにしましても、法的には不安定な身分であるにもかかわらず、工場労働者の要望があったとは言え、特例方式でありながらも柔道整復師に健康保険の利用が認められた根拠とは?
柔道精神を旨とし、卓越した徒手整復技術、国民から信頼され、ニーズがあればこそでございましょう。
柔道整復師の先生方には、信頼を損ねることが無いように適正な業務の遂行をいただくことを切に望みます。

 

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