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スペシャルインタビュー:中野区長・田中大輔 氏

2015/02/23

中野区の人口は約32万人。世帯数約19万世帯。中野区は、新宿駅からJR中央線で4分の中野駅を中心に、近年は大学も多く設立され学園都市の様相を呈している。元々中野区には、東京都名勝、哲学堂公園があり、哲学堂公園は哲学者で東洋大学の創立者、故・井上円了博士が精神修養の場として作った世界でも珍しい哲学がテーマの公園である。

そんな中野区に相応しい、自身の哲学をしっかり持たれている田中区長に今後の地域の在り方と自治体の在り方、そして支え合いや地域連携の取り組みについて熱く語っていただいた。

 

地域の方達が生き甲斐を感じながら生活できる地域密着型の支援体制を目指しています!!
大木 哲

中野区長
田中 大輔 氏

 

―日本の社会保障制度について田中区長のお考えをお聞かせください?

先ずはじめに医療については、国民皆保険制度で国民誰もが大きな病気をしてもそれ程大きな負担をすることなく何時でも治療が受けられるという、これは正に世界に誇るべき制度だと思いますし、年金についても、給付水準は世界的にみても高いと思います。人によって額に差があったりしますので課題もあるとは思いますが、やはり年金も世界の中でとても恵まれていると私は思っています。

また介護保険や障害者の総合支援、所謂ケアが必要な方達の仕組みについても発展途上の部分もまだまだいっぱいあるとは思いますが、仕組みは随分整ってきていると思っています。ただどこに行っても誰もがみな言われることですが、高齢化の勢いと就業年齢人口の減少等を考えていくと今の社会保障の制度をどうやって維持・存続できるかというのが、国民全体にとってとても大きな問題だろうと思っております。当然の流れと思いますが、中でも特に医療と介護の在宅ケアについては、地方自治体が大きな役割を果たしていくことになります。そういった社会保障の制度の持続可能性を考えていく上でも自治体が担う役割は益々大きな期待をされていくことになると思います。

これからの流れとしては、やはり介護予防、健康づくりが重要です。幅広い全員参加型の社会参加の促進を通じて、一つは社会保障の負担する層を拡げていくこと、又ある程度無理のない形で給付の量の増加を抑制することとあわせて、地域の中で誰もが安心して必要なケアを受けながら、生き甲斐を持って暮らしていけるような地域包括ケア体制を作りあげていくことが我々地域の側からのアプローチとしては物凄く重要な問題だろうと思っています。

あとは財政的な面で、どこまで維持できるのかという意味合いで言うと、多くは国政に期待しなくてはいけないと思いますし、そういった方向性の下で自治体の役割も非常に大きくなりますが、経済の再生、一定の経済成長が無いことには社会保障費用の増大に応えることが出来ません。従って経済成長できる国や社会、地域をどうやって作っていくかが今後ますます重要になってくると考えております。

 

―人口減少社会に突入しましたが、それについて田中区長のお考えを教えてください。

昨年発表された増田氏による問題提起は、全国規模での人口予測においては、かなり精度が高いものですが、各自治体に関しての人口予測においては必ずしもそうだとは言えない部分もあるように思います。ただ問題提起にはインパクトが必要ですので、評価すべきと思っています。

調査で分かったことですが、20年後には、中山間地域や沿岸の地域、離島など、今過疎化している所に限らず殆ど人が住まなくなる無居住地域が物凄く増えていくことを考えても、人口減少問題をどう考えて日本全体を作り直すかということは非常に大きな課題であると思います。人口減少を抑えなければいけないということもあり、全国市長会に「少子化対策プロジェクト」が設置されています。その中に東京では三鷹市長と私が入っておりますが、やはり全国の自治体でも危機感は本当に強く、特に地方に行けば行くほど危機感は強いです。昔は温泉のホテルで立派な建物だったものが、丸ごと廃墟みたいになってしまっているのが見られるなど、単なる民家がどうこうというだけの話ではないような現象がいっぱい起きています。

市長会の議論で〝自治体が出来ることと出来ないこととがあり、自治体に出来ることを一生懸命やりましょう〟〝国レベルでしかできないことについては自治体から積極的に提言をしていきましょう〟という話になっています。例えば先程の産業の活性化や産業構造の転換、地域に産業をどのように振り向けてくるかみたいな大きな経済政策は、国でなければ中々出来ないことですし、保育や子育てを支援することにかかる制度的な手当というのは、これも国レベルでなければ出来ないことです。自治体間競争で行うと、小さい自治体や財政が苦しい自治体ほど、どんどん衰退していく面がありますので、そういう基本的な構造、教育の問題や保育に関連する問題等については国でキチッと保障していただいて、又それを拡充していただかないといけないのではないかという議論をしています。

地域それぞれが自分の地域を活性化していくというのは、それぞれの地域の知恵や競争がある程度あって当り前であろうと思っていますし、それなりに工夫しようと思っています。しかし、人口減少問題イコール子育て支援に関しては手厚い補助があるとか、仕事があるとかないとか、お金の面で裕福であるとか裕福でないといったことで決まってしまうのではいけないという気がしています。

また、人口減少問題で何が大事かというと、働き手が減るのが一番困る訳で、働き手を確保することがとても大事です。全員参加型社会といわれているように、定年もなくして高齢者になっても元気でやる気のある人は働いてもらいましょう。女性もやる気があって元気な人がいっぱいいる訳ですから、専業主婦で家庭にずっといるとか、或いは税金の扶養控除の範囲内でしか働きませんというようなことではなく、女性が社会の中でフルに能力を発揮してもらえるような環境を作っていく。そうやって社会保障の支え手を増やしましょうという時代になっていくべきであり、女性が働くというのは当然の趨勢なので、それに追いついていかなければいけないでしょう。

 

―中野区に大学が沢山出来ましたが、都市計画に基づいて誘致されたのでしょうか?

街の活性化という意味では、外から人がいっぱい訪れるということがとても大事なことで、やはり大学があるって凄いんです。学生さんがいっぱい入って来て街の中を移動しますし、しかも大学は様々な研究と教育の専門機関ですから、社会に対していろいろ新しい情報と新しい知識、或いはノウハウを発信していただけます。

いま大学を評価する文科省の基準が幾つかある中で、その大きな一つが〝地域貢献しているかどうか〟です。中野区に開学した大学は競って地域とどうやって関わったら良いのか、地域にどういう風に貢献できるか、地域をステージにして学生に学ばせる取り組みを多種多様に行っておりますから、自治体にとって大学が存在することは昔よりもっとメリットが大きいと思います。そういう意味で、かつて警察学校があった地を開発する時の方針として、この区域とこの区域には大学に来てもらおうということを都市計画で決めていました。従って大学を誘致することは区の大きな方針でした。

これまで中野区は都心に近く、物価が安いまちということもあって、学生さんが多く住むまちとして知られていて若いビジネスマンも多く住んでいました。しかしただ寝にかえってくるだけの住宅街というのはまち全体の活力が衰えてきますし、当然そこで行われる経済活動にともなって自治体の財源というものも確保される訳です。その自治体なりの全体的なバランスが必要で、中野区に欠けているバランスは昼間来てもらう企業の活動や大学の活動みたいなものが不足しているということで今の形に計画的に進めてきました。

 

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