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柔道整復師国家試験対策【第3回:解剖学のポイント ―概論・脈管系編―】

2015/04/16

今回で3回目となる国家試験対策講座。12月、2月と過去2回に渡り執筆させて頂きましたが、新年度に入り始めてご覧になるユーザーの方もいらっしゃることと思います。今年度より毎月執筆させて頂くことになりましたので、来年3月の国家試験に向けて、有益な情報となるような内容をお送りできればと思います。これまで2回の内容では、国家試験に向けた教科戦略、必修問題に関する内容といった大まかな内容をお送りしました。今回より毎月の執筆となりますので、当月からはより詳細なものをお送りしたいと思います。前回までの内容をご覧になっていない方は、是非ともそちらもご覧になって頂きたいと思います。

 

1回目の教科戦略でも提示した通り、国家試験対策において最も重要なポイントは、解剖学、生理学、柔道整復学、一般臨床医学、病理学といった出題数が多く且つ難易度の低い教科の正答率を上げることです。しかしながら、これらの教科は出題範囲が広く、学習ポイントが絞りにくく、ユーザーの皆様にとっては取り掛かりにくく、苦手意識が強い教科であることも事実であろうと思います。そこで、今回からは、4月から12月までの全9回にかけて、これら5教科の学習ポイントを提示していきたいと思います。これらから執筆していく各教科、各セクションの学習ポイントを1つずつ理解、把握して頂ければ、各々の教科において体系的な知識が身に付き、苦手な教科から得意な教科となっていくことと思います。

しかしながら、お送りする学習ポイント量は最小限の量に抑えますが、全体的には大容量になってしまいますので、理解、把握するには多少なりとも時間が掛かってしまうと思います。ユーザーの皆様それぞれが、しっかりとスケジュール管理をして、毎月の内容を、次回の更新日までに8割がた把握できるようにしていってもらいたいと思います。

今回から3回にわたり解剖学の主要ポイントをお送りします。今回は、概論、脈管系のポイントに絞ってお送りさせていただきます。

 

概説について
1)
細胞膜の構成成分

リン脂質(主成分)、蛋白質

2)
細胞膜の構造特徴

リン脂質の二重層膜

3)
細胞膜の機能
1.
半透膜の性質(ある程度の大きさの溶質分子は通すが、それ以上の大きさの溶質分子は通さない)
2.
化学伝達物質(ホルモン、神経伝達物質)の受容体
3.
化学反応を触媒する酵素の存在
4.
輸送体の存在(チャネル、ポンプ)
4)
DNAの構成成分

糖(デオキシリボース)、リン酸、塩基

5)
ヌクレオチドについて

DNAの構成単位であり、糖、リン酸、塩基で構成されるもの。DNAの一本鎖はこのヌクレオチドが数珠状に連なって出来ている(数十億)

因にDNAはこの一本鎖が対に存在し、二重のラセン構造を取っている。
6)
DNAに存在する塩基の種類

アデニン、チミン、グアニン、シトシン

7)
RNAに存在する塩基の種類

アデニン、ウラシル、グアニン、シトシン

8)
RNAの種類とそれぞれの働き

mRNA:
DNAのある遺伝情報(蛋白質合成情報)を読み取ったもの:転写

tRNA:
リボゾームへアミノ酸を輸送

rRNA:
mRNAからのタンパク合成情報を元に、tRNAが運んで来たアミノ酸を材料にタンパク合成:翻訳

9)
細胞小器官の種類とそれぞれの働き

ミトコンドリア:
酸化的にエネルギーを取り出し、ATPを合成する。

リボゾーム:
蛋白質を合成

ゴルジ装置:
リボゾームで構成された蛋白質を濃縮、修飾する。例:蛋白質に糖を付加して糖蛋白を産生する。

リソソーム:
加水分解酵素を含む為に、細胞内にある高分子物質を分解処理

粗面小胞体:
リボゾームが付着した小胞体

滑面小胞体:
細胞によって働きが異なる。
筋細胞:
筋小胞体と呼ばれカルシウムイオンを貯蔵
副腎皮質細胞:
ステロイドホルモンの合成の場

細胞骨格:
細胞の形態保持、細胞の運動に関与
マイクロフィラメント、中間径フィラメント、微小管がある。

中心小体:
有糸分裂(細胞分裂)時に、紡錘糸を形成し染色体を引き寄せる。

10)
細胞周期の順番

G1期(間期)⇒S期(DNA合成期)⇒G2期(間器)⇒M期(有糸分裂期)

11)
有糸分裂について

前期:中心小体二分 染色体出現 核小体消失

中期:核膜消失 染色体の中央配列 紡錘糸の出現

後期:染色体が両極に移動

終期:染色体が染色質となり核膜に包まれる 二個の娘細胞の出現

12)
人体の四大組織
1.
上皮組織(上皮、腺上皮)
2.
支持組織(結合組織、骨組織、軟骨組織、血液リンパ)
3.
筋組織(骨格筋、心筋、平滑筋)
4.
神経組織(神経細胞、神経膠細胞)
13)
代表的上皮と部位
1.
単層扁平上皮:リンパ管、血管内皮、漿膜(腹膜、胸膜、心膜) 
2.
単層円柱上皮:胃腸粘膜、子宮粘膜(体部)
3.
多列上皮:固有鼻腔、気管、気管支粘膜(多列線毛円柱上皮)
4.
移行上皮:腎盂、尿管、膀胱
5.
重層扁平上皮:表皮、口腔、食道、肛門
      
14)
内分泌腺と外分泌腺の違い
1.
内分泌腺:ホルモンを産生し血液中に分泌
2.
外分泌腺:外分泌液を産生し、その分泌物を導管を用いて上皮表面に分泌
消化腺、汗腺、脂腺、乳腺、前立腺など
15)
支持組織の分類
1.
結合組織:線維性結合組織(密性結合組織、疎性結合組織)と脂肪組織に分類される
2.
骨組織:骨細胞、骨芽細胞、破骨細胞と骨基質からなる
3.
軟骨組織:軟骨細胞と軟骨基質からなる
4.
血液リンパ:血球細胞と液体成分(血漿/リンパ液)からなる
16)
密性結合組織と疎性結合組織の代表例

密性結合組織:真皮、靭帯、腱
疎性結合組織:皮下組織

17)
以下にあげる軟骨の代表例

線維軟骨:恥骨結合部軟骨、椎間円板、関節半月、関節円板
硝子軟骨:関節軟骨、骨端軟骨、肋軟骨、喉頭蓋軟骨を除く喉頭軟骨群
弾性軟骨:耳介軟骨、喉頭蓋軟骨

18)
骨の構成要素構成

骨膜、骨質(緻密質/海綿質)、関節軟骨、骨端軟骨、骨髄

19)
減数分裂について

細胞分裂時に、染色体が半減する分裂様式。生殖細胞のみに認める

20)
受精と受精部位

卵細胞内に精子が進入。卵管の卵管膨大部で行われる。

21)
卵割について

受精卵が細胞分裂をする様。受精後すぐに起こる。

この卵割を繰返しながら、受精卵は約6日かけて卵管から子宮粘膜へ移動し子宮粘膜内に着床する。
22)
外胚葉から分化するもの

表皮、皮膚腺(汗腺、脂腺、乳腺)、神経系、感覚器系

23)
中胚葉から分化するもの

循環器系、骨格系、泌尿生殖器系、結合組織

24)
内胚葉から分化するもの

消化器系、呼吸器系、尿路

 

脈管系の主要ポイント
1)
血管壁の一般構造

3層(内膜:上皮、中膜:筋層、外膜:結合組織)
しかしながら、毛細血管は1層(内膜のみ)

2)
刺激伝導系の順序 また、1つ目のものと2つ目のものの存在部位

洞房結節(上大静脈開口部)⇒房室結節(冠状静脈洞開口部)⇒ヒス束(房室束)⇒右/左脚⇒プルキンエ線維

3)
心臓を包む膜

漿膜性心膜臓側板(心外膜)⇒漿膜心膜壁側板⇒線維性心膜

漿膜性心膜臓側板と壁側板の間が心膜腔
漿膜性心膜が心筋層と接している。
4)
心臓の弁 

房室弁(尖弁):左房室弁(二尖弁/僧帽弁)、右房室弁(三尖弁)
動脈弁(半月弁):肺動脈弁、大動脈弁

位置関係は、肺動脈弁がもっとも前方に存在。
5)
心底部と心尖部の位置

心底部:第2肋間隙の高さに存在
心尖部:第5肋間隙の高さに存在

心臓の軸は、右後上方から左前下方
6)
大動脈の順序

上行大動脈⇒大動脈弓⇒胸大動脈⇒腹大動脈

腹大動脈はその後左右の総腸骨動脈に分かれる
7)
心臓を栄養する血管

左右の冠状動脈(上行大動脈から分布)
左冠状動脈:心臓前面に分布
右冠状動脈:心臓後面に分布

8)
大動脈弓から直接分布する動脈

心臓に近い順に、腕頭動脈⇒左総頸動脈⇒左鎖骨下動脈

9)
腕頭動脈が分岐

右総頸動脈、右鎖骨下動脈

10)
外頚動脈から分布する主要血管

上甲状腺動脈、舌動脈、顔面動脈、顎動脈、浅側頭動脈

浅側頭動脈と顔面動脈は拍動を触知できる
11)
内頸動脈から分布する主要血管

前大脳動脈、中大脳動脈、眼動脈

12)
ウィルス動脈輪について

前大脳動脈、中大脳動脈、後大脳動脈、前交通動脈、後交通動脈で形成される脳底動脈輪

この中で前交通動脈のみ対にない。
13)
鎖骨下動脈から分布する動脈

椎骨動脈、内胸動脈、甲状頸動脈、肋頚動脈

14)
脳底動脈の形成について

左右の椎骨動脈が合流して形成
椎骨動脈は左右の頸椎横突起の横突孔を上行し、合流後、頭蓋骨の大孔から頭蓋腔へ進入

15)
腋窩動脈から分布する動脈

最上胸動脈、胸肩峰動脈、外側胸動脈、肩甲下動脈、前上腕回旋動脈、後上腕回旋動脈

16)
胸大動脈の壁側枝

肋間動脈

17)
胸大動脈の臓側枝

食道動脈、気管支動脈

18)
腹大動脈の壁側枝

下横隔動脈 腰動脈

19)
腹大動脈の臓側枝

腹腔動脈 上腸間膜動脈 下腸間膜動脈 腎動脈 精巣/卵巣動脈 中副腎動脈

20)
腹腔動脈から分布する動脈

脾動脈 左胃動脈 総肝動脈

21)
外腸骨動脈が大腿動脈に名前を変える部位

外腸骨動脈が鼡径靭帯の下の血管裂孔を通過後

22)
大腿動脈が膝窩動脈に名前を変える部位

大腿動脈が大腿内側下部にある内転筋管を経由し、内転筋裂孔を通過後

23)
上大静脈の形成

左と右の腕頭静脈が合流して形成

24)
腕頭静脈の形成

内頸静脈と鎖骨下静脈が合流して形成

25)
下大静脈の形成

左右の総腸骨静脈が合流し形成

26)
奇静脈系の役割
1.
上大動脈と下大静脈の側副血行路
2.
胸腔内の血液の回収
27)
奇静脈の始まりの何静脈か、またその静脈の分布静脈

総腸骨静脈から分布する上行腰静脈

28)
奇静脈が注がれる部位

上大静脈

29)
副半奇静脈が注がれる部位

奇静脈と左腕頭静脈

30)
奇静脈系に注がれる血管を主要静脈

肋間静脈、食道静脈、気管支静脈

31)
門脈を構成する静脈

脾静脈、上腸間膜静脈、下腸間膜静脈、胃冠状静脈(右左胃静脈)、臍傍静脈

32)
門脈閉塞時の側腹路として静脈が流れ込む経路

食道静脈、直腸静脈、腹壁静脈

33)
上肢と下肢の皮静脈とそれらが注がれる部位

上肢: 橈側皮静脈⇒腋窩静脈  尺側皮静脈⇒上腕静脈
下肢: 大伏在静脈⇒大腿静脈  小伏在静脈⇒膝窩静脈

34)
臍静脈、動脈管、静脈菅の生後の名称

臍静脈⇒肝円索  動脈管⇒動脈管索  静脈管⇒静脈菅索

35)
静脈菅について

胎盤からの臍静脈から分布し、胎児の下大静脈に注がれる。
(胎盤の血液を胎児へ送る)

36)
臍動脈について

胎児の内腸骨動脈から分布し、胎盤へ胎児の血液を送る。

37)
動脈管について

胎児の肺動脈と大動脈弓を繋ぐ血管で、胎児中の血液が肺に流入するのを防いでいる。

38)
卵円孔の存在部位

胎児の心房中隔

39)
右リンパ本幹を形成するリンパ管

右頚リンパ本幹(右頭頸部のリンパ液回収)
右鎖骨下リンパ本幹(右上肢のリンパ液回収)
右気管支縦隔リンパ本幹(右胸腔部のリンパ液回収)

40)
乳糜槽へ注がれるリンパ管

腸リンパ本幹(腹腔のリンパ液回収)
腰リンパ本幹(左右下肢のリンパ液を回収)

41)
乳糜槽から左静脈角に続くリンパ管

胸管

42)
左静脈角に注がれるリンパ管

左頚リンパ本幹(左頭頸部リンパ液回収)
左鎖骨下リンパ本幹(左上肢リンパ液回収)
左縦隔リンパ本幹(左胸腔リンパ液回収)も注がれるため、右上半身(横隔膜より上部)以外のリンパ液全てが注がれる。

 

 

概説24項目、脈管系41項目の主要ポイントを示しました。概説、脈管系共に、今回提示した項目の内容を混同しないように、しっかりと知識を整理しながら記憶するようにしていって頂ければと思います。概説、脈管系からは3,4問の出題が毎年見られますので、しっかりと押さえておくようにしてください。また、今回の内容で疑問や理解できにくい部分は、教科書や友人に聞いてみるなりして整理していってください。次回来月は内臓器系を中心とした主要ポイントをお送りします。それまでに、今回の内容をある程度は把握するようにしてきてください。また、ある程度把握した場合は、国家試験の過去問などを一度実施してみるのもよいでしょう。それではまた次回宜しくお願い致します。

西村 雅道

 

●プロフィール

西村 雅道
柔道整復師、鍼灸師、柔道整復専科教員、医科学修士
平成15年より平成26年まで学校法人杏文学園東京柔道整復専門学校に在職、同校の国家試験対策を牽引。また国家試験対策塾『杏文塾』の代表として同塾を運営。著書に一般臨床ポイントマスター。現在北里大学大学院博士課程に在学。

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