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第7回帝京大学・栃木県柔道整復師会ジョイントシンポジウム開催

2015/08/26

平成27年8月9日(日)、帝京大学宇都宮キャンパスにおいて『第8回柔道整復学豊郷台シンポジウム(第7回帝京大学・栃木県柔道整復師会ジョイントシンポジウム)』が開催された。

第7回帝京大学・栃木県柔道整復師会ジョイントシンポジウム

 

井原正博学科長今年4月に柔道整復学科長に就任された、帝京大学医療技術学部柔道整復学科・井原正博学科長は〝柔道整復学豊郷台シンポジウムは第8回を数え、公益社団法人栃木県柔道整復師会とのジョイントシンポジウムとしては第7回目となる。小松学科長の後を継ぎ学科長に就任するまで病院に勤務していたが、医科の場合は大学や総合病院の勤務医と開業医にはあまり接点がなくこのような場もなかったため非常に良い企画だと感じている。みなさんの活発な討議を期待している〟と挨拶した。

 

帝京大学・冲永佳史学長帝京大学・冲永佳史学長は〝我々が柔道整復師養成課程を設置した当初の目的は、今般の医療環境の中での柔道整復師としての役目が何なのかを明らかにすること、そして他の医療職種と連携して患者を診て健康増進に努める立場として成長することだった。そのためにも柔道整復の技術を身に着けることが最も重要となるが、それと同時に他職種との連携が図れるコミュニケーション力を身に着け、また科学的な観点から柔道整復師の業務を見て技術を高めていくことが大切だ〟と、柔道整復師養成にかける想いを述べた。その一方で〝柔道整復師の施術には科学的立証が難しいものも多い。しかし立証する努力をしていかなければ、他の医療職種とのコミュニケーションも取れず、柔道整復学を確立していくことにも繋がらない。学問的環境は無駄ではなく、皆さんが社会的活動を展開していくうえでも重要だとご認識いただきたい〟と、シンポジウム開催の意義を熱く語った。

 

【特別講演1】では、柔道整復学科初代学科長でありこのシンポジウムの生みの親でもある塩川光一郎氏(東京大学名誉教授・福岡医療専門学校・今年の8月1日より帝京大学理工学部客員教授)が福岡から駆けつけ、『柔道整復学と細胞分化-細胞の初期化に関する2つのノーベル賞研究の分子細胞生物学的考察-』と題する講演を行った。

萩原会長はじめに塩川氏は〝骨癒合や周辺軟部組織の修復には大なり小なり組織細胞の「脱分化」と「再分化」が伴うと考えられる。組織の「脱分化」と「再分化」を扱う生物学は発生学であり、つまりは「柔道整復学」から遡ると「発生学」にたどり着く。骨折患者の場合、患部の整復・固定の後に柔道整復師が目指すのは順調な骨癒合であるが、その際には細胞の分化は特に重要な概念となる。よって、そのメカニズムについては日ごろから学んでおくことが望ましい〟として講演をスタートした。

まず塩川氏は、細胞の発生・分化のメカニズムについて〝遺伝子が正しい場所で正しい順序で働くことによって起こるが、これは運動器の治療・回復過程にも関係するため、柔道整復分野にも大きくかかわる。形態形成は遺伝子作用のカスケードで制御されており、連鎖反応の途中のひとつの遺伝子の作用を乱すだけで最後に現れる形態が大きく変化する。卵の発生では遺伝子の働きをコントロールするものは細胞質にある母性成分である。ここで重要となる細胞質の構成要素は、DNAの調節領域に特異的に結合する蛋白質性の転写因子である〟として、永年の研究材料であるアフリカツメガエルの胚を縦や横に切断して培養する実験の結果を基に、細胞質にはその場所に応じて異なる母性因子が準備されていることを示した。

続いて塩川氏は、2009年にラスカー賞、2012年にノーベル医学生理学賞を共同受賞した山中伸弥教授のiPS細胞とジョン・ガードン教授のアフリカツメガエル・クローンの研究に話を進めた。〝ガードン教授はカエルの成体の腸の細胞の核を卵の細胞質に移植し(強制的に引っ越しさせ)、その核を受精卵のそれと“錯覚”させることにより、一匹のカエルを作らせることに成功したが、山中教授はウイルスを用いて、Oct3/4、Sox2、Klf4、c-Mycの4種類の遺伝子DNAを皮膚の細胞の染色体DNAに無差別に組み込むことにより、細胞の核を移動させることなく「初期化」できることを明らかにした〟として両者の研究を比較し、その違いを解説した。その上で、山中教授の研究では染色体に外から組み込まれた遺伝子が細胞質に4種類の転写因子を作り、それらが核の遺伝子に働きかけて「初期化」を行ったと考えられるのに対し、ガードン博士の研究では卵の細胞質にあらかじめ母性因子として準備されていたそれら4種類の転写因子が移植核の中に入り、その遺伝子の働きを「初期化」した、という自身の仮説を紹介した。

しかし最先端医療技術であるiPS細胞では、初期化に際して細胞の遺伝子DNAが必然的に多くの傷を受け、また欠損してしまう等、実用化に向けた応用研究において困難に直面している事実を挙げ、〝iPS細胞も柔道整復学も「進化」あるいは「大自然の手」にはまだまだ遠く及ばないように思える〟としながらも、〝到達したレベルに満足して留まることなく、積極・果敢に、しかしあくまでも謙虚に、努力を重ねていくことが大切ではないかと思わされる。地に足を付け、絶え間なく努力することが必要だ〟と柔道整復学もiPS細胞と同様に有用であり、だからこそさらなる発展に向け尽力すべきだとした。

最後に栃木県柔道整復師会の特殊性として〝栃木県出身である萩原七郎先生の存在は大きい。この方が柔道整復の存続の為に奔走してくださったからこそ今の柔道整復学・柔道整復業界があるわけである。故に、萩原七郎先生は柔道整復学の父といえる存在である。また、(公社)日本柔道整復師会の萩原正前会長が行なわれた、国際化に向けての活動、研究レポート集「柔道整復学」の編纂、大学院寄付講座の設置などの功績も非常に大きい〟と述べ、〝柔道整復師の皆さん、特に帝京大学の柔道整復学科の学生の皆さんは栃木県にはこのような素晴らしい大先輩の方々がいらっしゃることを忘れずに、日ごろの勉強に邁進していただきたい〟と激励した。

 

 

 
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