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第18回日本統合医療学会 開催

2014/12/24

平成26年12月20日・21日の2日間に亘り、パシフィコ横浜において「統合医療の世紀―健康長寿社会の実現―」をテーマに、第18回日本統合医療学会が第17回日本アロマセラピー学会学術大会と合同で開催された。

会場

 

開会に先立って行われた日本統合医療学会大会長・理事長講演では、今大会の大会長を務めた昭和大学医学部顕微解剖学講座教授・塩田清二氏が『2014年度日本統合医療学会・日本アロマセラピー学会合同大会開催の意義』として趣旨説明を行なった。

塩田氏塩田氏は〝日本アロマセラピー学会は「香りの魅力を探る」、日本統合医療学会は「統合医療の世紀―健康長寿社会の実現―」とそれぞれテーマを掲げている。私が第18回日本統合医療学会大会長をお引き受けしたときに、日本アロマセラピー学会とは互いの学会を構成している方々に共通点も多いことから、情報交換を兼ねて相互理解を深めてはどうかと日本アロマセラピー学会の今大会長である荒川秀俊先生に提案させていただいた〟と初の合同開催に至った経緯を説明した。

そのうえで〝日本は高齢化しつつあり、認知症患者、要介護者の増加が社会的問題となっている。平均寿命と健康寿命には10年程度の差があることが知られているが、統合医療とアロマセラピーでその差を縮めることができれば、我々の社会的使命を果たせるのではないか。統合医療は患者中心の医療であり、西洋医学に伝統的な医学を加え統合することによって、生まれてから死ぬまでの包括的なケアを行う。補完代替医療を患者のニーズに応じて使うことで、患者のQOLを向上させ医療費を削減することもできる。多くのメリットがある一方でデメリットもあり、それらを如何に克服していくかが課題だ。効果の有無が立証されていないものも多く存在し、これらを確定させ、医学的な根拠を知ったうえで個別の患者に適用していくことが大切である〟と統合医療についてわかりやすく解説を行った。

 

日本アロマセラピー学会大会長講演では、大会長である昭和大学薬学部物性解析薬学講座教授・荒川秀俊氏がアロマの信頼性と効果・効能について講演を行なった。

荒川氏荒川氏は〝医薬品は信頼性を確保するために日本薬局方による規制があるが、一方で精油は雑貨扱いで規制はなく自主規制が必要となる。消費者が安心・安全に使用するには、精油が一定以上の品質に保たれていなければならない。市販10社の精油成分を比べたところ各成分の含有量にばらつきがあり、精油の品質を管理するために精油精度を認定する制度を作成し、精油それぞれに基準となる分析法を制定する必要があるとして、日本アロマセラピー学会は2010年に精油精度委員会を設立した。自然の物質であるアロマは医薬品のように成分量の基準値を設けることも難しいが、品質の維持・向上を図るために、委員会ではモデルとなる分析法の提示とそのガイドラインの設定、その方法で求めた成分値を表示することを求めている〟等述べ、実際の申請に関する項目を説明した。

精油の効果については〝植物は常に自然環境からの脅威にさらされており、それらから身を守るために植物は抗菌物質として過酸化水素を生成しているという前提のもとで研究を開始した。オキシドールを医薬品としても使われているため、過酸化水素も抗菌物質として関係しているのではないかと考えたためだ。木に害虫が付くとできる五倍子は生薬として使われているが、主成分はタンニンでありここから過酸化水素を出している。五倍子と同じくらい濃度を上げた過酸化水素を用いるとがん細胞も死んでしまう〟と過酸化水素の効果に関する多くの検証結果を示し、〝分析をすることは品質管理において非常に大切だ〟と強調した。

 

合同大会特別企画「癒しの空間「森の香りと住まい」」では、『森からみる未来』C.W.ニコル氏(作家)、『森の香りの可能性』稲本正氏(正プラス社)、『環境と対話する建築』隈研吾氏(建築家)の3題の講演が行われ、好評を博した。

 

『森からみる未来』CW.ニコル

ニコル氏ニコル氏ははじめに‶日本の多様性は素晴らしい。北に流氷、南にサンゴ礁がある国は他にない。しかし日本人はどんどん森から離れ、日本の森林面積は国土の60%以上だが、原生林は3%以下になってしまっている。森が泣いているように感じた〟と失われつつある日本の豊かな森への想いを語った。ニコル氏が住む長野県黒姫にも「幽霊森」と呼ばれた荒れ果てた森があり、豊かな森林として甦らせるために‶荒れた雑木林を伐採し、充分に養分と陽の光が当たるようにした。以前は地下水の流れが止まっていたため水路や池も作った。光や水を通すことで花が咲き、山菜も芽を出し、昆虫や鳥たちも戻ってきた〟と自身の取り組みについて述べた。

また、‶森林は癒しの場だと信じられてきた。昔は東京でも子どもたちが雑木林で遊んでいたが、現在は森で遊ぶ子どもは少なくなっている。そこで5年前から、障害や心的外傷を抱えた子どもたちを森に招く“five sense project”という取り組みを行なっている。子どもたちは森に入る前は目も合わせてくれないが、森に入って1日、2日で無邪気に笑えるようになった〟と写真を交えて紹介し、次第に変化していく子どもたちの表情に聴講者も胸を打たれている様子だった。

 

『森の香りの可能性』稲本正

稲本氏稲本氏は‶「森の惑星」という本を執筆する際に英国のキューガーデンの元園長に相談したところ、アマゾンの生態系について調べるよう助言された。調査を進めると、アマゾンではローズウッドが絶滅しつつあり、その成分は日本に生息するクロモジの成分と構成がほとんど同じであることがわかった〟として、クロモジの成分を調査し始めたきっかけを紹介。‶クロモジブレンドの人体への影響をライフ顕微鏡を用いて調査すると、睡眠が改善、イライラも減少するうえに副作用も少ないと判明した〟という。

森の香りと医療のかかわりとして、‶認知症患者は今、450~500万人いる。また、東京都において長期療養を取っている人の約7割がうつ病である。そのような精神的ストレスから病気になる人をケアするために、アロマセラピーや統合医療などで初期のうちに見つけて対処していかなければならない。アロマへの反応には個人差があるものの、研究をしていけばある程度このように処方すればいいというものが見えてくる〟と、アロマを地域医療に上手く取り入れていくべきと提言した。

 

『環境と対話する建築』隈研吾

隈氏隈氏は‶木の香りに非常に惹かれる。建築家は形をデザインするものと思われているが、私は香りや感触なども大切な要素だと考えている。東日本大震災は、コンクリートと鉄の近代建築の限界を教えてくれたような気がしている。いくら丈夫な建物を作っても自然という圧倒的な力の前では何者でもない。自然に対する敬意、尊敬、愛情を失ってはならない〟と建築においても環境を考慮すべきとし、自身の手掛けた作品をその背景を含めて紹介した。

‶イタリアで行なわれたゴッホ展では、ゴッホの絵画をイメージし干し草のカーペットを敷き詰めた。すると会場は干し草の匂いでいっぱいになり、来場者に「ゴッホの空間だ」と喜ばれた。那珂川町の広重美術館の場合は、美術館の裏手にあたる里山に神社がある。そこにも人が訪れるような建物にしたいと思い、真ん中に大きな穴を開け、神社を見てから入れるようにした〟等、地域の特色や素材を生かし、そこに溶け込みながらも斬新で五感を刺激するような建築の数々に会場からも感嘆の声が漏れた。

 

 
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