menu

(公社)日本柔道整復師会 第36回北信越学術大会石川大会 開催

2014/07/16
ランチョンセミナー
『草原に架かる虹を追って
-日本柔道整復師会モンゴルでの活動記録-』
(公社)日本柔道整復師会国際部 田澤裕二先生・根來信也先生

田澤氏は〝公益社団法人日本柔道整復師会は2006年から政府開発援助(ODA)を使い、モンゴル国において日本伝統治療である柔道整復術を普及するために様々な活動を行なっている。今回はモンゴル国の情報を含め、私たちの活動を紹介する〟と発表を開始した。

 

田澤氏はモンゴル国の国土や人口、文化、政治情勢、生活環境等について説明した後、〝モンゴル国では現在においても社会主義時代の影響が残っており、ほとんどの病院は国に管理されている。バグ(地方の集落)においては、一次医療を担っているのは3年間の医療教育を受けた人たちで、決められた治療施設を持たずにお産や怪我の応急処置など全ての医療を担っている。ソム(村)にはいくつかの小規模病院があり、基本的には6年間の医療教育を受けた医師が治療を担っている。しかし設備は整っておらず、勤務したがる医師も少ない。アイマグ(県)には入院施設を持つ比較的環境の良い大きな病院があり、医師の数も多いがこのレベルにおいても設備が整っているとは言えない。モンゴル国では乳幼児期にかいまき状態でいることが原因と思われる先天性股関節脱臼の頻度が高い。落馬、交通事故が原因であるものが多いが、最近ではスポーツによるものも増えてきている〟とモンゴル国の医療状況について解説した。

 

根來氏は〝地方の医師を対象に、現場にあるもので柔道整復術を伝えている。一般住民を対象に公開講座も行ない、柔道整復術の紹介や怪我に対する応急処置の方法などを教えている。日本でも指導を行なっており、現在は3名が各地で研修を受けている。帰国後は病院や学校などで学んだ技術を生かしている〟と述べ、現在富山県で研修を受けている研修生を紹介した。また、この事業に対する外務省の評価として〝総合評価としてA判定をいただいている。モンゴル国に本当に必要な技術だと国も認めている。高価な機材を必要とせず、現地で入手可能な材料を使って治療しているということが要因。実技を中心とした講習で試験もしっかりしていると高い評価を受けている〟と報告した。今後の展開としては〝医療状況は発展途上国も先進国も同じで、高齢化社会となっていくことは間違いないと考えている。その時に伝統医療や保存療法を見直す必要が出てくる。我々は業界の代表として「伝統医療産業の輸出」をし、海外から評価され日本にフィードバックされることで評価も向上し、ひいては柔道整復師自身の意識の改革にもなる〟として、国内外でさらに柔道整復が必要とされることへの期待感を示した。

 

ランチョンセミナー
『柔道整復師と介護保険について 生活目標を達成する運動とは?』
(公社)日本柔道整復師会介護対策課 藤田正一先生・三谷誉先生

はじめに三谷氏は、介護の中心課題とされる地域包括ケアシステムについて〝社会保障制度が大きく変わっていく中で、各市町村で地域包括ケアシステムが作られるようになる。地域包括ケアシステムでは、医師・歯科医師・薬剤師・看護士・介護支援専門員その他専門職の積極的な関与のもと患者・利用者の視点に立ってサービスを提供する。柔道整復師も専門職として関与していく。言い換えると、自分の住んでいる地域を住みやすいように町づくりをするということ。政府は、入院患者を約2週間程度という早い段階で退院させることができる体制を作っていこうという方向性になっている。つまり不安定な状態のまま退院するため、柔道整復師のような立場からの在宅での医療が大切になる。介護予防として、柔道整復師は機能訓練指導員という専門性を活かして運動を指導したり身体測定等を行なったりする。痛みを持った人たちにアプローチして施術し、運動療法を行なうなど最初から最後まで完結できる職種は少ないので、自分が持っているスキルを地域住民に伝えていく方法を考えていただきたい〟と、柔道整復師が地域包括ケアシステムに参入する必要性を説いた。

 

また、柔道整復師が地域において求められるものとして〝専門職として痛みを取る治療も重要だが、生活目標を達成するための治療が重要となる。生活機能を高めるために、その人の個性(身体状況、運動・生活習慣、運動目的)に合わせた個別のプログラムを作る。すると楽しく継続でき、身体状況も変化する。生活機能低下を持った高齢者が増えたこと、他職種とチームを組んで医療を行なう機会が増えたことなどが要因となり、ICFの考え方が急速に広まった。ICFとはWHOが定めた国際生活機能分類のことで、世界共通の言語として提案されたもの。ICFでは「健康状態」を「心身機能・身体構造」「活動」「参加」の3つにカテゴライズする。それらを支えるのが「環境因子」や「個人因子」とされている〟として、具体例を交えICFの概念をわかりやすく解説。その後、藤田氏による介護予防プログラムの実演VTRを紹介した。

 

藤田氏は〝介護予防で使う運動は特殊なものではなく誰にでもできる。それを患者に対し優しく丁寧に説明することが大切。ちょっとしたことで改善がみられるようになる。それを活かして地域包括ケアに参入していく努力が必要。今までバラバラだった医療・介護・福祉を一緒に行なっていこうという流れになっている。柔道整復師も地域包括ケアという分野に関わっていこうという意識を深めていただきたい〟と語り、終了した。

 

大会勉強会情報

施術の腕を磨こう!
大会・勉強会情報

※大会・勉強会情報を掲載したい方はこちら

編集部からのお知らせ

メニュー